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書評「ターミナルケア医学」
森岡 恭彦
1
1東京大学
pp.1179
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403106594
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平和な世が続き,福祉が充実してくるにつれて,安らかに死にたいとの希求が人々の心に起こり,またわが国でも,不治の患者についてのケアの問題がクローズアップされてきている.
古くより医師は患者を治すことに熱中し,1日でも生命を延長することを至上主義としてきたきらいがある.しかし,一方において現実には近代医学をしても如何ともし難い患者がおり,このような患者に対しては無益な延命治療に終始するよりも別のことを考えてやるべきであるとの考えが強調されてきているわけである.すなわち,限られた最後の人生を苦痛の少ない,充実したものにしてあげるほうがより良いのではないかということである.医師は何が何でも延命に努力すべきであるという態度を放棄する.そして,患者に残された日々を安らかに過ごさせるように配慮する.
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