連載 私が精神科看護に魅かれる理由・1【新連載】
置き去りにされた『心』
安藤 幸子
1
1井之頭病院
pp.942-943
発行日 1993年10月1日
Published Date 1993/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904379
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今回精神科看護にひかれる理由というテーマで依頼を受け,引き受けてはみたものの,改めてなぜ精神科看護(狭義の)を続けているかを考えてみると,私自身が精神病院で働くことになった経緯と若干の自分史のようなものを語らなければならないことに気づき,自分について語るのが苦手な私はいささかしまったと思っているところである.また精神病院の看護は「こんなに素晴らしいのよ」と言えることばかりではなく,むしろ今後の課題というべきものが山積している.したがって正直なところ,やめてしまおうかと思うことも何度かあった.精神科看護の魅力について手放しで語れたならばどんなに楽なことかと思い,しばらくはなかなか筆が進まず困ってしまったが,今は現実は現実として,葛藤しながらそれでも何かにひかれてやりつづけているそのままを書いてみようという心づもりがようやくできてきた.
私は今,精神病院の現実を目の前にして,若いやる気のある看護者が1人でも多く精神科看護を志してくれたなら,現場は大分変わってくるだろうと思っている.これから4回にわたって自分が精神科看護にひかれる理由を書いていく訳だが,これを読むことで1人でも多くの若い人たちが精神科看護に興味を持ってくれたらと願っている.
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