連載 日々の看護ケアと生命倫理と・7
減数出産—医師の立場で考えてみる
岡部 恵子
1
1日本看護協会看護研修センター
pp.660-661
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904316
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前回,多胎妊娠の減数出産のための手術について触れました.私の迷いを記すにとどめましたが,医師の立場に立った時,私はどう対処するのか.迷いだけでなくいまなりの決断を,いまなりの意思表明をしておくべきかとを思っています.といいますのは,前回の原稿を書き終わって数日後,長野の一産科医が,自分は減数手術を行なっていて,産科医としてそれを是とすると,自ら申し出をされた記事を新聞で読んだからです.テレビでも大きく取り上げ,コメントしていました.賛成,反対,いろいろな意見がありました.
私がその記事を読み,まず思ったことは,減数出産は,ある意味では医療高度化の中での医師の責任の取り方なのかもしれないということでした.第1回目にも書きましたが,生命倫理が単に生命を考えるのか,人らしく生きる,人として幸せになるといった生活までも考えるのかということを,もう一度思い出しています.この減数手術を行なっていると告白し,自ら問題提起をされた医師も,決してすべての多胎妊娠の方に手術を勧めたのではなく,どうするかを尋ねて,希望された方に実施したとのことです.
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