連載 私が小児看護に魅かれる理由・3
いのちのそばで想うこと(3)—療護園生とともに
白土 陽子
1
1東京都立北療育医療センター
pp.268-269
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904228
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療護園の思い出
まだ,看護婦になろうと考えていなかった高校生の時に,私はボランティアとして「肢体不自由児施設福島療護園」に,月に1, 2回通っていた.ボランティアというと大げさのような気がする.確かに子どもたちの食事の介助,おしっこの世話などもしたが,本当のところ,子どもたちと遊べる,私にとっての憩いの場所でもあった.
そのきっかけは,友人が歯科医院で会った療護園生のS君のことを,「S君の両親は東京にいるんだけど,面会に来てくれないんだよ.だけどとってもいい子なんだ」と,嬉しそうに話してくれたことにある.そういう,彼女が大切な宝物を温めているかのように思えて,その宝物に触れてみたい気持ちになったのである.
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