特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ①−呼吸器編
【呼吸器6】肺塞栓症・肺血栓症
長谷川 有史
1
,
池上之 浩
2
,
田勢 長一郎
2
1福島県立医科大学附属病院第二外科
2福島県立医科大学附属病院救急科
pp.629-634
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903999
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疾患の概要
近年,本邦における肺塞栓症(pulmonary embolism:以下PE)患者は増加し,国内研究機関の報告によると2000年に発生したPEは4022例でそのうち1746例が死亡している.死亡者数は10年前の2.4倍に増加している.
PEを引き起こす原因は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis;以下DVT)がもっとも多く,全症例の90%に達する.DVTとは下肢・骨盤腔の静脈内に血栓が形成される病態で,この血栓が移動して塞栓子となり肺動脈を閉塞する.PEの発症要因として,術後32%,長期間の臥床後31%,足などの外傷後14%,悪性腫瘍13%と報告されている.また,発症時の状況として,カテーテル検査後の安静解除で最初のトイレ歩行時や体位変換時,術後はじめて車椅子への移動した時などの報告がある.
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