特集 危険な画像所見—ぬかりはないか? ①−呼吸器編
【呼吸器4】ARDS・誤嚥性肺炎
松川 周
1
1東北大学医学部附属病院集中治療部
pp.618-623
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903997
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疾患の概要
ARDS(acute respiratory distress syndrome;急性呼吸促迫症候群)
急性の経過(数日〜数週)で発症する重篤な低酸素血症を呈し,胸部X線写真で両側肺のびまん性浸潤影を示す疾患のうち,左心不全を除外した症候群の総称で,本態は肺血管内皮および肺胞上皮の障害による血管透過性型肺水腫である.さまざまな基礎疾患が発症の危険因子として知られており(表1),肺への直接的侵襲や全身性の炎症反応に伴う間接的侵襲によって肺血管内皮細胞,結合織,肺胞上皮細胞が広範に障害される.肺構築の破壊,線維化と肺血管のリモデリングを伴う一連の炎症反応であり,肺毛細血管の透過性亢進による肺水腫,低酸素血症,肺の線維化,肺血管の減少等を主要な徴候とする急性呼吸不全をきたす.基礎疾患の存在が常にARDSへの進展を意味するわけではなく,発症を予測できる因子や生体内活性物質も知られていない.
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