特集 性暴力被害者の支援—看護婦だからできること
性暴力被害者のための社会資源
松山 容子
1
1東京都立広尾病院医療相談室
pp.1009-1011
発行日 2001年11月1日
Published Date 2001/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903846
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病院での対応
性暴力の被害者はさまざまな形で医療機関を訪れます.救急車で訪れることもあれば警察から来ることもあります.対応する場としても,救急外来,通常の外来として産婦人科や内科,外科,または脳外科,耳鼻科,精神科,小児科などいろいろです.被害者は被害を話すこともあれば,おもてだったケガの処置だけを希望することもあります.いずれにせよ,被害への対処は個人でなく病院として,チームで対応することが重要です.院内に倫理委員会や事故防止委員会があるように,たとえば「暴力被害者対策委員会」といったものを設置して,その医療機関としての通報義務にどう応えるか,被害者をどこまでサポートするのかなどの態勢をあらかじめ検討しておき,現場で被害と思われるケースに出会ったらカンファレンスを開き,対処方法を検討できることが望ましい形です.しかし,現実にはなかなかそうはいきません.そこで,たとえ院内の態勢が不十分であっても,個々の医療音が対処するとき必要な社会資源の説明を以下に簡潔に述べます.
被害者と接したとき,医療処置と心理的対応はもちろん必要ですが,それ以外に即対応が必要なことが2つあります.1つは,経済的なこと(医療費をどうするか,明日からどう暮らしていくか,など).もう1つは彼女を誰がどう支えていくかということです.
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