特集 性暴力―「起きた後/起こる前」に支援者は何ができるか?
性暴力被害にあった男性を支援する
西岡 真由美
1
1ウィメンズカウンセリング京都
pp.217-220
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25020217
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I はじめに
2023年3月に放映されたBBCのドキュメンタリーをきっかけに,旧ジャニーズ事務所でのジャニー喜多川氏によるおぞましい性加害事件が世間の耳目を集めることとなり,男性も性暴力被害にあうという事実が少しずつ社会の中に受け入れられてきたように思う。一方で,未だどこか特殊な環境下の特別な人々の間で起きること,という捉え方もあるようにも感じる。しかし実際には,さまざまな場所でさまざまな年代・立場の男性や男児が性暴力被害にあっており,被害者に深刻なダメージをもたらす。そのような実態と社会の認識のギャップは,被害者心理にもさまざまな影響を及ぼす。
筆者は,男性の性暴力被害についての研究を行い,京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センターですべての性別の方を対象に支援活動をしている。本稿では,男性から被害を打ち明けられた時(あるいは間接的に知った時),どのように受け止め,どういうことができそうかを具体的に考えられる手がかりを示したい。そのためには,実態を正しく知る必要があると思うので,まずジェンダー規範などがもとになって存在している「神話」(誤った思い込み)と,男性の性暴力の実態について概観する。

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