データのちょっとナナメな読み方・7
逆転現象?
星野 桂子
1
1国立医療・病院管理研究所
pp.771
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903798
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厚生労働省の調査をもとに,平均在院日数の年次推移を調べていたら,患者調査と病院報告の平均在院日数について,近年になって逆転現象が起きていることに気がついた(データファイル参照).
両者の数値が異なるのは,計算式とデータの取り方の違いによる.患者調査では同月中に退院した患者の在院月数を合計し,患者数で割る,一般的な平均値の計算である.病院報告の計算式は平均在院日数=延在院患者数÷{(退院患者数+入院患者数)×1/2}である.たとえば,全患者が7日で退院する病院にコンスタントに入院があると仮定すると,どちらの計算式を使っても平均在院日数は7日になる.ところが,全病床の半分が長期入院で調査期間中の入退院がないとすると,患者調査では同じく7日となるが,病院報告では入退院が半分になるのに延在院患者数には長期入院患者を含む全病床分が計上されるため,平均在院日数は14日になる.
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