今月の表紙
逆転現象
反保 宏信
1
,
坂本 泰二
2
1自治医科大学眼科学講座
2鹿児島大学
pp.186
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410105113
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症例は54歳,女性。1週間前に「右眼に見えない部分がある」と近医を受診,その後増悪したため当科紹介となった。初診時の視力は右(0.9),左(1.2)で,眼圧は右13mmHg,左17mmHgであった。両眼の眼底に1/5~1/2乳頭径大の白斑を伴う網脈絡膜炎を認めた。フルオレセイン蛍光造影(fluorescein angiography:以下,FA)では初期に斑状低蛍光を呈したが,後期には斑状過蛍光を呈した。インドシアニングリーン蛍光造影(indocyanine green angiography:IA)では初期にFAよりも明瞭に斑状低蛍光を観察することができ,後期ではFAよりも広範囲でより多数の斑状低蛍光が確認された。FAの逆転現象から急性後部多発性小板状網膜色素上皮症(acute posterior multifocal placoid pigment epitheliopathy:APMPPE)と診断された。3か月後には眼底の白斑は消失し,視力も両眼(1.2)となった。
撮影にはHeidelberg社のHRA2を用い,初期と後期の部位がずれないよう留意した。
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