いい本見つけた!
—小山内 美智子著—『車椅子からウインク—脳性麻痺のママがつづる愛と性』/『あなたは私の手になれますか—心地よいケアを受けるために』
児玉 真美
1
1呉大学看護学部社会情報学科
pp.772-774
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903799
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十数年ぶりの「再会」
「障害者もの」を読まなかった理由
小山内美智子さんは重度の障害者である.1977年から札幌で「いちご会」という障害者自立のための組織を作って活動している.結婚して男児を出産,1988年に自分の半生を『車椅子からウインク』という本にまとめて出版して,一躍マスコミの寵児となった.今でいう「五体不満足」の乙武クンである.
当時,重症重複障害児の母親になったばかりだった私は,『車椅子からウインク』を読んで,障害をもった1人の女性のたくましさと行動力に,自分の娘の将来にも多少の希望を見出したような気持ちになった.が,その一方で,この30歳の障害者の女性と19歳のボランティア青年(少年?)との結婚は,あんがい危ういのではないかという気がしてならなかった.やがて『車椅子からウインク』はテレビの2時間ドラマになった.内容はもうほとんど記憶にないが,たくましい小山内さんがひたすら健気な女性に描かれていたのには目をむいた.甘ったるく美しい「愛と涙の感動物語」が終了した時,「なんだ,これは!」と撫然としたのを覚えている.
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