2001フロントライン 看護体験
体験から言葉へ—看護のリアリティ
川原 由佳里
1
1日本赤十字看護大学
pp.344-348
発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903712
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私の所属している日本赤十字看護大学には,かれこれ3年くらい続いている看護哲学研究会というのがある.この研究会は,看護場面での出来事を明らかにするために,どのようにアプローチすればよいか,その基礎となる考え方を模索している.事実,看護場面での出来事はとにかく複雑で,たくさんの要素が絡みあって,常に変化している.今までいろんな人がいろんな方法を用いて試みてきたが,そこで起こっていることを十分説明するにはいたっていない.この研究会では,毎回活発で自由な雰囲気のなか,看護現象へのアプローチとしてさまざまな試みをとりあげ,議論を重ねている.
本稿はこの研究会で私が得たことを執筆したものである.ここで私は,看護婦としてその場に居合わせた自分自身の体験を見つめ直し,言葉にすることを試みた.特徴はといえば,たとえばアンケートやインタビューなどが他人の体験を取り上げるのと違って,自分自身の体験を取り上げたこと.そして自分が見たこと聞いたことをただ書き出すのではなく,その時その場で自分自身の意識にわき上がってきた感覚,感情,思考などを思い起こしながら,何が起こっていたのかを考え,言葉にしてみたことにある.
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