特集 "交渉"について考える
私の"交渉"体験―Yesという言葉によってYesを獲得する
新道 幸恵
1
1神戸大学医学部附属病院看護部
pp.79-84
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901871
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はじめに
臨床における看護管理の経験の全くない私が,大学病院の看護部という部署において看護のトップマネージメントに従事するようになって,はや2年近くが過ぎようとしている.この間,目前の仕事を処理しながら,自分の責務や役割,そして立場の意味等に対する認識を得ていくという経験の仕方をしてきた.これは多分,多くの病院の看護のトップマネージャーの方々とは,逆の経験の仕方をしてきたのではないかと思う.私にとっては,日々の出来事の多くが新しくかつチャレンジブルなものであって,それらへの対処には「経験」が使えない分だけ,創造を強いられる,といっても過言ではない状況で過ごしてきた.私の用いた対処方法,つまりは,マネージメントの方略が例え,既に先輩諸氏にとっては慣例として用いられているものであっても,未経験で,未熟な私にとっては,少々大げさな言い方かも知れないが,「その出来事」への「対処」のためにその都度発想したものである.
経験豊富な先輩の方々にとっては,陳腐とも,また青臭いと思われる部分が多いことを懸念しながら,看護部長就任以来用いてきたマネージメントの方略の内でも,ネゴシエーションについて述べることにしよう.
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