調査研究
臨終から退院までの看護―グリーフケアの視点から
相馬 朝江
1
1神奈川県立衛生短期大学
pp.197-201
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900974
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はじめに
受け持ち患者の死に遭遇して
筆者は,看護婦になって数か月ほど経った時,自分で看護した患者の死を初めて体験した.自分の勤務時間帯ではなかったため,同僚からその患者の死を知らされた時は,患者はすでに霊安室に移され,狭いベッドに寝かされていた.日がすでに暮れかかっており,病棟とは別棟にある霊安室には裸電球が灯っていた.夏の終わりの蒸し暑い時期であったが,冷房などはなく,入り口が開け放たれていた.暗く気味のわるい部屋には木製の汚れた丸椅子が置いてあり,消えかかった線香が灯っていた.私は焼香をして戻った後もずっと,その光景が頭から離れなかった.
遺族はそこで,どのような気持ちで変わり果てた患者と会ったのだろうか.
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