招待席
広井 良典—いま,ケアを問い直すことの意味—専門性のパラダイムシフトヘ
広井 良典
1
,
河原 智江
2
1千葉大学法経学部
2医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構
pp.101-105
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903660
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——先生はもともと科学哲学を専攻された方で,21世紀を前に社会保障制度全般についても提言をされています.近年は「ケア」に関していくつかの著作を発表されていますね注1).先生にとってケアとはどのような意味を持つものでしょうか.
広井 一般的な意味と現代的な意味の2つの意味があります.私が「人間はケアする動物である」という意味は,人間にとってケアは生きていくうえでなくてはならないものであるということです.人間は社会的な生き物であり,他者との相互的なかかわりのなかで1人の個人になっていく.そこで他者によってケアされている,つまり自分という存在を肯定的に受け入れられているという実感を持てることが,自分自身を確認するうえで決定的な意味を持つのです.つまりケアは人間が人間として存在することと一体不可分のものといえます.
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