ナースのためのヘルスサイコロジー講座・1
“こころ”と“ヘルス”
五十嵐 透子
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.78-82
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903654
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わかってほしいけど,わかられたくない
筆者の専門が心理学であることを話すと,「こころが読めるんでしょ」「こころが読まれるから怖い!」という反応を,ほとんど例外なく受けます.「こころを読むなんてことはできないですよ」と返答しますが,このような反応はどうして生じるのでしょうか?精神看護の教官に対して,学生は「自分が見透かされるような不安」を抱くといいます.人は自分の思いや意見,感情を他者にわかってもらいたい,理解してもらいたいと望む一方で,それに対する不安を抱くものなのでしょうか?
河合隼雄は「人間は一方で,立ち上がる力をもちながら,他方では立ち上がることを拒む傾向を強くもつ」と述べています.人は力動的にその時々で変化し,どんなときでも自分が誤解されたり,受け入れてもらえないことは望みませんが,内面ではいくつもの相反する要素を持ち合わせているものなのです.
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