2001フロントライン 家族看護
家族看護への複雑—不安定システム論の適用
鞠子 英雄
1
1青森県保健大学
pp.49-54
発行日 2001年1月1日
Published Date 2001/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903648
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はじめに
拒食症,分裂症,うつといった精神症状が家族の構成員に出現したとき,従来,それらを個体レベルでの疾患ととらえ,原因をたとえば遺伝子レベルに還元しようとする傾向があった.それに対して,1960年前後,アメリカを中心に,「家族が病んでいるのであり,患者といわれている人は,その一症状にすぎない」という家族全体のありかたから症状を見直す動きが現われた1).
しかしながら,当初は,「分裂病因性の母」という言葉が流行したように,母親の否的態度や過保護に原因を求めるなど,家族構成員の特定の人間に病因性を置き,家族構成員間の相互作用(相互連結)への視点は希薄であった.
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