連載 考える
ターミナルケアからの歩み—一看護婦の「物語」・9
「直す医療」のなかで……
竹内 輝江
1
1大阪府立病院外科病棟
pp.866-870
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903556
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はじめて心の底から
点滴やモニター装着,ドレナージといった,病院のなかで普通に行なわれている「生命維持処置」のない患者の臨終を経験した(前号参照)ことで,私はさまざまなことに気づき始めました.
たとえば,私が末期患者を“避けたい”と思ったことがあったのは,それほど“効果的”とは思われない治療処置に追いまくられることが原因であって,死を見届けること自体が嫌なわけではないこと.死んでいく人とともに過ごす時間は「人はなんのために生きているのか」「自分の人生で一番大切なものは何か」といった問いを,改めて考えさせてくれる機会であること,など.「生命維持処置」のない患者の臨終を経験した私は,はじめて心の底から,死にかかわる仕事をしてきてよかったと思いました.
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