特集 看護診断は看護を変えるか?
臨床における看護診断の実際
細井 恵子
1
1慶應義塾大学病院
pp.1004-1009
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900743
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看護診断導入の経緯
私たちの看護診断への取り組みは1987年から始まりました.当時,看護専修学校が看護短期大学に移行し,看護教育は看護診断を中心とした看護過程の基礎能力の育成に重点が置かれ始め,私たちは臨床指導病棟として学生を指導することになりました.
私たちの病棟はICUを5床併設する呼吸,循環器外科病棟で,疾患のリスクが高く看護は身体的側面へのケアが優先される傾向にありました.問題リストの内容も疾患名,症状が多く記載され,看護上の問題は焦点がはっきりしていませんでした.そんな時に実習の担当教員である藤村龍子先生から「不安」「術後の疼痛」「セルフケア」などの記述のないこと,さらに実際にケアしていても看護問題として明記していなければ援助していないのと同じであるという指摘を受けました.確かに患者は生命の危機感が強く,不安,恐怖,悲嘆などの精神面,社会生活の中での役割の変化,家族などの重要他者の支援などの多くの問題を抱えています.この時,私たちは看護の視点から患者の健康問題を捉えることの重要性と患者理解に必要な視点,アセスメント能力,記録の表現方法について学習の必要性を痛感しました.
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