特集 いま,排便介助を問い直す
排便—ごく当たり前の営み—を援助する専門性
川島 みどり
1
1臨床看護学研究所
pp.229-233
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900341
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社会と病院の排泄文化
小学校時代には便所掃除当番というのがあった.教師によっては,宿題を忘れた罰として,それを課す場合もあった.少女時代,祖母の許で生活した筆者は,「お便所掃除を嫌がらずにすると,可愛い赤ちゃんが生まれる」と聞かされ,古い学校のすり減った木の床を,友達と競争しながらぴかぴかに磨いたことを思い出す.
子どもは,おならやウンコの話を好んでする時期がある.「ばっちい」と言われれば言われるほど,そうした話を喜ぶ.それは,自分の身体器官のうちの,手や目,鼻,足の存在とともに発見した排泄器への関心と,自己の身体から自然に出る異物や音や匂いの存在に驚き,興味を持ち始めたに過ぎない.大人がそれに関する話題を避けようとしたり,たしなめたり,笑ったりすればするほど,子どもはますます,その話をしたがる.
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