特集 病院と緑化
思い出の記—病院緑化運動前奏曲として
原 素行
1,2
1早稲田大学診療所
2病院管理研修所
pp.177-178
発行日 1960年3月1日
Published Date 1960/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201626
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思い出の径
昭和29年3月,広尾病院に,「柳は緑,花は紅」の病院庭園美化運動が起つた。発起人の自動車運転士渡辺貞雄君は,病院を愛する情は,全職員に甲乙ある可らずという考え方で,全員に10円均一の募金を開始した。私も,ポケツトから,10円玉1つだけを醵金して,均一制の掟に従つた。
柳と吉野桜の若木が,構内の諸々方々へ植えられ,全職員の在職記念が終つたとき,渡辺発起人は,私へ,記念植樹のために,名文を書けという。文も下手,歌も下手,漢詩などは言語道断,という私は,七転八倒の思いで,やつとこんな愚作を書いた。愚作である以上,恥を知る私は,署名しなかつた。いつかは,詠み人知らずとなる日を待つている。
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