Lecture
下剤使用の見直しで便失禁を改善する
神山 剛一
1
1くるめ病院 排泄リハビリテーションセンター
pp.44-50
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101700
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病院・施設において多い便失禁
便失禁の有病率については、いくつかの報告がある。1984年に英国各地域で行われたアンケート調査では、64歳未満では男性の0.42%、女性の0.17%、65歳以上では男性の1.09%、女性の1.33%が便失禁ありと答えている1)。このことから家庭における便失禁の頻度は、男性より女性に多く、また高齢者に多くみられるといえる。米国においては、1995年に大規模調査がなされ、2500世帯を訪問し、約7000人に便失禁の有無を尋ねたところ、ありと答えた人は2.2%であった2)。
しかし、医療従事者が遭遇する便失禁は、これほど少なくはないのではなかろうか。米国における老人施設の調査では、入所者の50%近くに便失禁がみられている3)。わが国でも本間らによる調査が行われており、施設入所高齢者約1万人に対して、尿失禁の頻度は一般病院で23%、老人施設では50~60%であった。さらに、尿失禁がある人は便失禁も伴っていることが多いことが指摘されている4)。また、就業年齢層における便失禁の調査は味村らが行っており、いわゆる労働人口における便失禁の頻度は0.7%であった5)。
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