特集 せん妄であわてない
事例 こんなときどうする?
仁科 典子
1
,
茂呂 悦子
2
,
小松 由佳
3
,
杉澤 栄
4
,
伊藤 有美
5
,
髙橋 栄樹
6
1大阪警察病院救命救急センターICU
2自治医科大学附属病院ICU
3東京慈恵会医科大学附属病院 看護部
4日本看護協会 看護研修学校認定看護師教育課程 集中ケア学科
5杏林大学医学部付属病院
6浜松赤十字病院 救急病棟ICU
pp.17-23
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101695
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せん妄状態の患者にとっては、錯覚や幻覚も現実です。私たち看護師からみると、つじつまが合わないあるいは無目的にみえる言動も目的や意味があり、患者は苦痛・要望を言葉にして表出できない状態であること、説明・指導を集中して聞き、理解・記憶するのが困難な状態であることを認識して対応する必要があります。表出したい内容(苦痛や要望)が把握できればそれに対応しますが、内容が把握できずさらに興奮してしまう場合や、「家に帰りたい」「なにもしないで欲しい」「自由にして欲しい」など、すぐには満たせない要望の場合には、内容の把握よりも、タッチングやマッサージを続けながら「しんどいですね。少しやすめるといいですね」「先生と相談してみますね。苦しくないようにしますからね」と苦痛を理解し、それを取り除くために最善を尽くしますという姿勢を示します。
せん妄状態の具体的症状は、多岐におよびます。しかし、どのような症状であっても対応の基盤となるのは患者の体験に寄り添うことだといえます。
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