特集 せん妄であわてない
せん妄のアセスメントとケア
I.リハビリテーション
小松 由佳
1
1東京慈恵会医科大学附属病院 看護部
pp.24-29
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101696
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早期介入によりせん妄を予防する
近年、ICU入室患者においてポジショニングやモビライゼーション、早期離床の重要性が認識されつつあります。Morris PE1)らは人工呼吸器装着中の患者に対して、早期に運動療法を介入させたところ、早期離床が可能となり、人工呼吸器装着期間、ICU在室日数、在院日数が減少したと報告しています。また、Schweickert2)らは、ICU患者に対して、毎日の鎮静薬休止と、積極的なリハビリテーション(早期離床)を実施した結果、せん妄発生率が低下、人工呼吸器装着期間が減少したと報告しています(図表1)。このことから、早期から、離床を含めたモビライゼーションを実施することで、せん妄の発生率を低下、人工呼吸器装着期間を減少させることが可能といえます。
一方、せん妄を発症している患者は、人工呼吸器非同調や酸素消費量増加、気管チューブ自己抜去など、各種カテーテル類のトラブルを避ける目的で、鎮静薬が投与されたり、抑制帯が装着されることがあります。クリティカルな患者では、せん妄の誘発因子そのものである病態や、その治療に伴う侵襲が、栄養状態の悪化、他臓器合併症の併発を引き起こします。また、不穏・せん妄に対する鎮静薬・筋弛緩剤の投与が、不動による筋力低下に拍車をかけます。このような悪循環を断ち切るためには、リハビリテーションを含め、早期から介入していく必要があります。
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