特集 せん妄であわてない
せん妄の基礎知識
茂呂 悦子
1
1自治医科大学附属病院ICU
pp.6-15
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101694
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せん妄とは
せん妄は、「急性可逆性精神障害であり、錯乱となんらかの意識障害によって特徴づけられる。一般的に、情動易変性、幻覚または錯乱を伴い、不適切で衝動的、非合理的、暴力的行動を伴う」と定義されます1)。要点をまとめると図表1のようになります。せん妄は、精神運動活動と覚醒レベルに基づき、活動過剰型、活動減少型、両者の特徴が交互する混合型に分類されます。活動過剰型は幻覚、妄想、焦燥性興奮、失見当識によって特徴づけられます。活動減少型は錯乱と鎮静によって特徴づけられ、幻覚、妄想、錯覚を伴うことは少ないとされています2)。
せん妄の主な症状については図表2に示しました。興奮や、活動・意欲の低下、つじつまの合わない会話、失見当識といった症状は、臨床における治療や看護の妨げとなることも少なくありません。せん妄は、ICU在室日数・入院日数の延長、退院後6か月での死亡率の独立予測因子であることが報告されており、PTSDとの関連も指摘されています2)3)4)5)。
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