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編集後記
鳥居
,
吉田
pp.90
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101554
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●通勤電車で漫画『プルートゥ』を読了。あの『鉄腕アトム』を売れっ子漫画家の浦沢直樹さんがリメイクするという話を聞いたときは、商業戦略的なイメージが先にたってあまり興味がわかなかったのですが、久々に涙が出てしまいました。手塚治虫さんという人は、常に「正反対の物」を描くことで主題を浮かび上がらせてきました。たとえば「不死鳥」によって「死とは何か」を描き出したように、鉄腕アトムも、ロボットを描くことによって「人間とは何か」を浮かび上がらせる作品でした。しかし、生前の手塚さんはことあるごとに「アトムは失敗だった」と語っていたそうです。アニメが商業的に大きな成功を収めるなかで、本来描きたかった「人間とは何か」というテーマに迫りきれなかったという思いがあったと言われています。『プルートゥ』がそれに成功したかどうか、手塚さんがどう評価するかはわかりません。でも、「人間とは何か」に真摯に応えようとした渾身の作品であること違いありません。電車の中で読まないように注意!【鳥居】
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