BOOKS in Review
―苦しいけれど、離れられない―共依存・からめとる愛
大島 寿美子
1
1北星学園大学文学部
pp.50-51
発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101512
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利他的であるという自己満足の底にひそむ途方もない利己的欲望
「奪い取るケア」の図式
「ケア」とは多くの場合、他者に対する援助行為を指す。しかし、看護や福祉の専門家に言わせるとそれだけは不十分であり、ケアとは、ケアを受ける者の自己実現を助け、さらにケアを与える者を成長させる、相互互恵的な行為なのだという。
いずれにしても共通しているのは、ケアには人と人との関わりがあり、そしてその関わりは、一方通行であれ、相互的であれ、他者に何かを「与える」ことによって成り立つということである。しかし、臨床心理士としてアディクションの家族援助を長年続けてきた著者は本書で、「与える」というより「奪い取る」ケアの図式を提示する。
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