癌と駆けっこ・11
一番苦しかった時期
刑部 慶子
pp.1284-1287
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921569
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再生不良性貧血になりかける
1984年10月,抗癌剤治療の2クール目を始めて以来,様々な副作用がいっぺんに出てきた.まず,相変わらずの腸閉塞で日夜にわたって吐いている.それに加えて口腔粘膜の荒れ,アフタができ,また舌の左右両側が潰瘍のようになってしまい,ひどい痛みだ.いくら消化管をターゲットとする薬だからといって,口くらいは普通であってほしい.特に舌の両側の潰瘍はなかなか治らず,舌を動かすと歯に当たってひどい痛みだ.3週間位この痛みを味わっていたが,ついに耳鼻科の先生にステロイドと抗真菌剤のうがい薬を処方してもらい,ようやくおさまった.
髪の毛はほとんど抜けて,禿げ頭になってしまった.そして,今回は赤血球,白血球数が落ちて,なかなか上がらなくなった.骨髄の細胞は普通,抗癌剤投与後2週間目に最も少なくなり,それを過ぎると,また次第に増えてくる.ところが,今回は3週間たっても4週間たっても横ばい状態であった.輸血を何回も行なった.だが,あまり輸血ばかり行なうと,やがて自分の骨髄で造血をしないようになってしまうらしい.
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