連載 DV被害者に看護師ができること・3
DVにからめとられる被害者
友田 尋子
1
1大阪市立大学医学部看護学科
pp.706-709
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100496
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ボストン大学医学部および公衆衛生学部教授であるElain J. Alpert MD, MPNらが開発した教育プログラム1)(以下,Alpert氏のプログラム)では,被害者に「なぜ逃げないのか」と問うのではなく,「なぜ逃げることができないのか」について,援助者が理解を深めることの重要性を強調している.Alpert氏のプログラムに組み込まれているセッションでは,DVのサイクル,暴力の被害者への心理的影響,加害者の特徴,女性の自立を阻害する社会のしくみなど,幾重にも重なった「逃げることができない構造」をていねいに示していた.
被害者は「逃げない」のではない
DVの被害者はなぜ逃げないのか,あるいは,せっかく逃げてもまた加害者のもとに戻っていくのはなぜなのか,と思う人は多い.ここでまず理解しなければならないことは,家庭は彼女(被害者)の生活の場であり,彼女にとっては家庭こそが全存在をかける場であるということである.
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