BOOKS in Review
―DVD+BOOK―退院支援、べてる式。
宇都宮 宏子
1
1京都大学病院地域ネットワーク医療部
pp.46-48
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101431
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当事者主体の退院支援のために専門家の立ち位置をもう一度考える
患者の思う「退院」と現実とのズレ
24時間体制で医療者が管理している入院医療の場面から、医療者はもちろん、介護する家族も少ない、あるいは不在の在宅生活の場に帰ることは、患者にとって不安なことである。
不安の源のひとつは、入院治療によって生じた変化である。医療者側にとってはある程度、予測の範囲内の変化であったとしても、患者や家族にとっては「もっとよくなってから帰るんじゃないのか」と、現実の退院時の状態と、「退院時にこうありたい」と願う状態との間にズレが生じることがしばしばある。評者は、このズレが起きないように、入院早期から「退院する頃の状態像を患者・家族と共有する」ことを退院支援だと考えて取り組んできた。そこでの医療者のもっとも大切な仕事は「今何が起きているか、これから病気や障害によって患者の生活がどのように変わるか」を患者に返していくことだ。
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