書評
― 『認知症ケアの考え方と技術』 (六角僚子 著)―認知症の人たちに必要なのはしっかりした理解とほどよい手助け
加藤 基子
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1名古屋市立大学看護学部研究科ケアシステム看護学分野・訪問看護学
pp.839
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101151
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この本は,認知症の人たちが当たり前の生活を全うしていけるような,ほどよい手助けの仕方について,エピソードをふんだんに使った優しい文章で丁寧に書かれています.
認知症の人に,肩書きを外して「出会う」ことから始めよう
まず1~3章では,認知症ケアにおいて必要な知識と考え方が述べられています.たとえば認知症の中核症状である「見当識障害」の項では,84歳の方が5分前は50歳と称していたのが今は18歳と変わり,その年齢に応じておばちゃん,お姉さんと呼び分けられることを,著者は「人生の行き来」をしていると表現しています.素敵なとらえ方です.「自分の世界を生きる」Sさんと著者とのかかわり合い方が読み手の胸に素直に伝わります.
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