特集 高齢者医療ハンドブック―高齢者医療におけるダイバーシティへの対応
第Ⅴ章 認知症
7.認知症の人の介護者へのケア
吉岩 あおい
1
Aoi YOSHIIWA
1
1大分大学総合診療・総合内科学講座
pp.760-765
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_760
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Summary
▪認知症診療の目標は,認知症の人とその家族の生活を支えることであり,包括的な医療が必要である.
▪認知症の介護者のうつ病を発症する頻度は,一般人の3倍以上というメタ解析の結果がある.認知症診療では,薬物治療,非薬物療法に併せ認知症を抱える家族・介護者へのサポートを行うことで治療効果を得ることができる.
▪家族は,一日の大半を介護の時間に費やしている.家族・介護者への傾聴により精神や身体の介護負担に気づくことが大切である.疾患や薬物療法に対する説明を丁寧に行ったうえで介護につなげ,公的サービスを通じた家族支援を行う.
▪認知症の介護者の介護負担度の尺度としては,介護者の身体的負担,心理的負担,経済的困難などを総括して測定する.
▪当科の「もの忘れ外来」に通院中の在宅患者介護者による調査では,「記憶障害」,「排泄の世話」,「デイサービス」,「人物誤認」,「妄想」などが介護負担感を増大させていた.
▪社会福祉サービスとして介護保険があり,在宅や施設での社会福祉サービスが利用できる.
▪介護負担軽減として具体的には,デイサービスやショートステイがあり,家族とともに参加する「認知症カフェ」や「認知症の人と家族の会」では,認知症介護者に対する「ピアカウンセリング」が行われている.
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