無限のイメージ

　ひとは街の中で何を見るのか。建ち並ぶビルの隙間から空を見ることも忘れて、うんざりするほどの交差点に苛（いら）つき、濁流のように押し寄せる人波をかき分け、ただ前に進むことに気を奪われる。満員電車で身動きできず、退屈紛れに眺める窓外の看板や車内の広告ポスター。片手の中に収まる小さな液晶画面から目を離せない時代。

　村から町へ、町から街へ、ひとが群れ集まるほど、ひとに見えるものは小さくなる。大都市であるのに、ひとの関心は狭い場所に集中し、小さな部屋の中でしか憩うことはできない。