巻頭カラー連載
アフリカが紡ぐ命の物語・6
井上 冬彦
1
1井上胃腸科・内科クリニック
pp.499
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101016
- 販売していません
- 文献概要
2006年8月,フラミンゴで有名なナクル湖に異変が起きていた.長らく雨が降らないための湖水の変化か,それとも近郊の町から毒物が流れ込んだのか.湖岸には無数の死骸が転がっていた.この1か月あまりで数万羽のフラミンゴが死んだらしい.死骸は鳥やハイエナの餌になっていた.
その後の様子が気がかりで1週間後に再びこの湖に向かった.情報では雨は降っていないとのこと.しかし,着く前から雲行きが怪しくなってきた.恵みの雨になりそうだ.湖岸に着いた時には雨が降り始め,やがて豪雨になった.干上がっていた湖岸がみるみる水浸しになっていく.湖岸はソーダの結晶でできているため,あまり雨が降ると泥沼状態になり,走行不可能になる.「早く移動しよう」というドライバーを押しとどめたのは,何かが起きる予感だった.5分後,突然空に大きな虹が現れた.50回以上この地に通っているが,こんな美しい虹を見るのは初めてだった.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.