巻頭カラー連載
アフリカが紡ぐ命の物語・5
井上 冬彦
1
1井上胃腸科・内科クリニック
pp.401
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100990
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- 文献概要
朝発見したメスライオンは子どもを生みそうな気配だった.4時間後に再びその場所を訪れるとブッシュの奥には,生まれたばかりの子どもが2頭.こんなに小さな子どもを見るのは初めてだった.枝が邪魔で写真は撮れそうになかったが,チャンスが訪れそうな予感がした.母親は移動したがっていたからだ.
待つこと2時間.母は1頭の子どもをくわえて20mほど離れた深いブッシュに移動を始めた.決定的なチャンスだった.さらにもう1頭運ぶはず.ところが,母親は深いブッシュのなかに入っていったままだった.置き去りにしたのか,忘れてしまったのか…….母親は高齢で足が悪かったので,置き去りにしたのだろう.このままでは子どもは死んでしまう.
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