巻頭カラー連載
アフリカが紡ぐ命の物語・2
井上 冬彦
1
1井上胃腸科・内科クリニック
pp.95
発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100865
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- 文献概要
サバンナにいる大型ネコ属のうち,ヒョウはもっとも発見するのが難しい.相性のよい私は2回の滞在で1度は見ることに成功しているが,不思議と親子の写真には縁がなかった.
それは通い始めて13年目のこと,宿泊するロッジから1時間あまり先の川沿いにヒョウの親子がいるとの情報を得た.連日多くの車が親子を探していたが,この4日間は誰も見ていなかった.5日目,この地域のサファリも最終日だった.必死に親子の姿を探し,発見したのは午後4時過ぎ.しかし母ヒョウのみだった.それから1時間半,警戒しているのだろうか,彼女は動かなかった.「今回も縁がなかったかな」とあきらめかけた矢先,動き始めた母ヒョウ.単なる移動か,それとも子どものところに行くのか? その時,「グルルル」という声が聞こえた.子どもを呼んでいるのだ.「初めて対面できる」と胸が高鳴りはじめた.見失わないように追跡を続けて10分あまり.突然ブッシュに隠れていた子供が飛び出してきた.
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