巻頭カラー連載
アフリカが紡ぐ命の物語・4
井上 冬彦
1
1井上胃腸科・内科クリニック
pp.303
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100605
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サーバルは中型のネコの1種.早朝や,夕方から夜にかけて活動し,草の高い場所を好むので見つけるのは難しい.たとえ見つけても,憶病なためにすぐに逃げられてしまう.今までにも何度か撮影に成功しているものの,いずれも小さく若い雌ばかりだった.それにひきかえ,成熟した大きな雄の撮影は困難を極める.
その日は朝から絶不調.午後4時まで1度のシャッターも押していなかった.おまけに夕方になって,川沿いの斜面でタイヤが砂にめり込んで身動きがとれなくなった.ドライバーは車から降りて悪戦苦闘中.「今日のサファリはこれまでか」とちょっと愚痴がでかけたが,ふと「目の前にある川に憧れのサーバルが水を飲みに来てくれれば……」という突拍子もない願いが頭をもたげてきた.通常,そのような安直な願いは叶うわけはないが,このときばかりは祈りを込めた.
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