特集 小児看護は大丈夫か?
地方の基幹病院で小児看護は生き残れるか
江口 恵子
1
1霧島市立医師会医療センター
pp.429-433
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100987
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はじめに
小児看護の抱える問題は,小児医療の抱える問題と切り離して考えることはできない.少子高齢化,核家族化,経済や学力の格差のみならず,心の格差まで多様な現代の問題とも密接に結びついている.さらに,医師の研修制度の影響による地方の医師不足,また,権利意識の高揚による(本来ならば当然のことであり尊重されるべきところであるが),時にゆがんだ形で表される親の自己主張や育児不安への対処など,現場の問題は多岐にわたっているといっても過言ではない.一方,看護師もまた,学生時代の実習においても十分な小児看護の経験に乏しく,成長過程での小児との接触も少なく,さらに混合病棟化のなかでのスキルアップはなかなか図りがたく,ジレンマを感じる状況がある.
筆者の勤務する病院もまたその渦中にあり,この3月末で常勤の小児科医師が不在となり,休診をやむなくされ,地域の小児医療の再構築の真っ只中にある.現状の有効な資源をどのように活用して少しでも安心できる医療環境を提供するか,関係者が知恵を出し合い模索しながら行なっているところである.
これまでの経験を踏まえて,地方の小児医療の現状と問題を当院のこれまでの取り組みの状況から考察し今後の方向性について検討してみたい.
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