特集 これでは子どもが守れない!? 小児看護の“危機”とは何か
いま病棟で子どもと家族を看るということ―小児看護の役割と今日的困難
筒井 真優美
1
1日本赤十字看護大学
pp.622-627
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100749
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
子どもと家族がおかれている状況
日本は少子化に歯止めをかけるため,エンゼルプラン,新エンゼルプラン,健やか親子21などさまざまな施策を打ち出してはいるものの,これらが多様化する子どもと家族のニーズに沿ったものとなっていない.
育児困難現象,児童虐待,キレる子ども,不登校,校内暴力は増加しており,2000年の総務庁『低年齢少年の価値観に関する調査』によると,3人に1人の子ども(9-14歳)は「小さいことでいらいら」し,「腹がたつとつい手をだす」など耐える力が乏しくなっている.また,「人が何を言おうと気にならない」「人は信用できない」「人といると疲れる」など,人間関係が困難になっている.親も3人に1人は「子どもが何を考えているかわからない」など,途方に暮れている(筒井,2003)1).
日本政府は年間78兆円の社会保障給付金のうち,高齢者関係に66%を配分している.これは世界の最高水準なのに対し,子ども関係はわずか3%で,他の先進国が子ども関係に10%前後の予算を配分しているのに比べると,きわめて低水準にあるといえる2).
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.