特集 「自分で決める」を支えるために
医療現場で必要な「自己決定の支援」―ある患者さんの事故をきっかけに気づいたこと
糸 光代
1
1霧島市立医師会医療センター
pp.1004-1007
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100653
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「患者さんの自己決定」を研究テーマとしていた私
私は,6年間臨床で看護師として働いた後,大学院に進学し,患者さんの自己決定をテーマとして研究に取り組んだ.その際,造血器腫瘍の患者さんたちに,病状を説明されたときからどのような自己決定を行ない,そして今どのような療養生活を送っているのかについて,お話をうかがった.
病気の説明を受け,衝撃を受けて間もないにもかかわらず,仕事をしている人はまず仕事のことを思い仕事の整理を行なったり,ご家族のために家の整理をしたりしていた.患者さんは喪失感の真っ只中にいながらも,今やるべきことは何かを考え行動されていたのだ.その後の治療の取り組みにおいても,患者さんはさまざまなことを決定していたが,いったん治療の決定をしてしまえば取り返しのつかないことになるのではないかと感じていたり,患者さんの自己決定に医療者のかかわりが大きく影響していたり,または家族や周りの人々への影響の大きさや倫理的な問題が絡んでいたりと非常に複雑な問題が関係していた.
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