連載 とびら
きっかけがもたらすもの
武田 浩二
1
1盛岡つなぎ温泉病院リハビリテーション部
pp.621
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201925
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2020年が明けてすぐに中学校の同級会が開かれた.地元を離れていた私にとっては,32年振りでたくさんの懐かしい顔に会うことができた.その日は時間を忘れて当時を懐かしみ,そして近況を報告し合った.見た目が変わった人,当時の雰囲気を残した人,会話のなかでも笑いは絶えず,時が経っても仲間っていいものだなあと感慨に浸った.
その中学生時代,私は「脊椎分離症」を患った.当時,小学校から続けていたバスケットボール部に入部して半年後,脚のしびれが強くなり走るどころか歩くのもつらくなっていった.主治医の指示で,部活動はおろか大好きだった体育の授業も1年間見学となった.思春期でバスケットボールがすべてだった私にとっては世界が終わったような気持ちで,目の前が真っ暗になったのを覚えている.当時クラス担任だった先生は,事故による大腿切断で義足を装着して教壇に立っていた.水泳から山登りまで何でもチャレンジしてしまう先生で,気落ちする私にスポーツリハビリテーションを紹介してくれた.リハビリという言葉は知っていても「理学療法士」という言葉を知ったのはそのときが初めてだった.
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