特集 女性がん患者のリンパ浮腫ケア
フェルディ法によるリンパ浮腫ケア
佐藤 佳代子
1
1後藤学園附属第二臨床施設リンパ浮腫治療室
pp.631-634
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100478
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治療前に知っておきたい大切なこと
リンパ浮腫に対するセラピストとしての認識
ある日徐々に,または突然リンパ浮腫が発症したことを患者から告げられたとき,私たち医療従事者には何ができるだろう.現在の医療では,全般的なリンパ浮腫に対する正しい認識が広く行き届いていない.そのため,相談してくれた患者にどのように対応したらよいのかと,いまだ躊躇している医療従事者は多い.近い将来,がん治療が始まる前に,その手術の結果生じる可能性のあるリンパ浮腫についての説明が,患者と医療従事者の間でもっと積極的に話し合える環境が築かれてほしいと願う.
リンパ浮腫の初期症状は,他覚的にはわかりにくいほど軽度な場合が多い.しかし,患者が感じている何かしらの違和感を見逃さずに対処することで,そのあとに予想されるリンパ浮腫特有の症状の発症を,より早期に食い止めることが可能となる.しかしながら現状では,リンパ浮腫と認知されないまま症状が進行し,ようやく顕著な皮膚変化が認められてはじめて診断される場合が多いようだ.現在リンパ浮腫を発症している患者に限らず,いまだむくみを感じていない,または術後一時的にむくみがみられたが消失したという場合でも,リンパ浮腫および患者の約半数が発症する可能性のある合併症・蜂窩織炎についての正しい知識や治療法を学んでおくことは,患者自身そして支える家族にとっても,これから安心して生活を送るために必要な知識として大きな財産となる.
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