特集 痴呆高齢者の転倒・転落事故は防げるか?
リスクマネジメントの観点から転倒・転落アセスメントに取り組む
古屋敷 智恵美
1
,
田内 志恵
1
,
神部 悦子
1
1労働福祉事業団中国労災病院看護部
pp.35-42
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100379
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世界に類をみない急激な高齢化は,病院入院患者の高齢化にも結びついている.年齢がからだに及ぼす影響は大きく,高齢になると事故に巻き込まれる危険性も高くなる.治療目的以外の傷害が入院中に発生し,本来の治療に多大な影響を及ぼすことは専門職としては防止しなければならない.そのような傷害を引き起こす原因の第一に挙がるのが,転倒・転落事故である.転倒・転落は発生要因を適切に評価し対処することで,未然に防ぐことができるといわれている.
当院では従来日本看護協会の提示している転倒・転落アセスメントスコアシート1)(以下,旧アセスメントスコアシートとする)を使用し,防止対策に取り組んできた.そのなかであがってきたヒヤリハット報告書では,患者が夜間トイレに行こうとしての転倒・転落事故が多く,排泄行動が転倒・転落の重要な要因になっているのではないかと考えた.しかし,旧アセスメントスコアシートにおいて排泄のスコアは1点と低く,スコアの重み付けに疑問を感じた.そこで,ヒヤリハット報告書をもとに転倒・転落に関連する要因を分析し,深く関与している項目とその関連性を評価し,新スコアによるアセスメントスコアシート(以下,新アセスメントシートとする.図1)を作成し,事故防止への取り組みを行なっている.
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