調査・研究
一病棟における転倒・転落の病期別分析
高橋 美奈子
1
,
小林 優子
1
1杏林大学保健学部看護学科
pp.633-637
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100323
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はじめに
転倒・転落は身体的な損傷を与えるだけでなく,自信喪失,失敗という心理的にもマイナスの影響を与える.また,入院患者の安全を守るという面からも,転倒・転落の防止は看護の大きな課題であると考えられる.
カルテや事故報告書による転倒・転落の傾向を分析した報告には,神長ら1)の循環器内科・心臓外科病棟において調査したもの,鈴木ら2)の緩和ケア病棟を対象としたもの,岩渕ら3)の内科系病棟において調査したものがある.また,川村ら4)は,転倒・転落の発生要因を,患者背景(疾病群)と発生時の行動・状況の双方から分析している.
しかし,病期別に,転倒・転落の傾向を分析した報告はあまりみられない.病期による転倒・転落の特徴を把握することにより,対象者の病期を考慮した転倒・転落予防が講じられ,転倒・転落の防止につながるのではないかと考えた.そこで,さまざまな病期の患者が入院している病棟における,転倒の要因・傾向を明らかにすることを研究の目的とした.なお,転倒・転落とは,「自分の意思からではなく,地面またはより低い場所に,肘や手などが接触すること」5)とした.
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