ステップアップ
看護師が行なう深部静脈血栓症予防ケア
木下 佳子
1
1NTT東日本関東病院
pp.1149-1155
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100232
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はじめに
深部静脈血栓症(DVT)が原因となって起こる肺血栓塞栓症は,手術を受けた患者のみならず,活動性が低下した入院患者に発生する致命的な合併症である.深部静脈血栓症の予防に関し,さまざまな方法が推奨されてきたが,その実施に関しては,問題意識のある医師・看護師もしくは施設に任されてきたのが実情である.
2003年に,肺血栓塞栓症予防管理料として診療報酬が支払われることになり,深部静脈血栓症の予防が注目されることになった.この算定にあたっては,「肺血栓塞栓症の予防に関わる計画的な医学管理を行うに当たっては,関係学会より標準的な管理方法が示されているので,患者管理が適切になされるよう十分留意されたい」と示されており1),その標準的な管理方法が「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」である2).その解釈に関する重要な留意事項として,十分なエビデンスに基づいたものではないこと,完全な予防は不可能であること,十分なインフォームドコンセントを行なう必要があること,ガイドラインを基本におきながら施設の実情に合わせた独自のマニュアルを作成して実践する必要があることが示されている.このように,診療報酬が算定されたという新たな一歩を踏み出したものの,まだ,多くの問題が残されている.本邦において看護師の役割について明確に示した文献はなく,また,具体的な看護ケアに関する研究もほとんどなされていないのが現状である.
そこで,本稿では,深部静脈血栓症の解説と看護師の役割,予防法,それらにまつわる問題点,今後の課題について述べたいと思う.
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