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ここまで解明されたメタボリックシンドローム―肥満解消の重要性を説明できますか?
吉田 俊秀
1,2
1京都府立医科大学臨床
2京都市立病院糖尿病・代謝内科
pp.596-600
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100147
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はじめに
日本でも食生活やライフスタイルの欧米化に伴い肥満者(Body Mass Index;BMI 25以上)が急増し,2300万人にも達している.肥満するとなぜよくないのか? それは,糖尿病,高血圧症,高脂血症,慢性関節疾患など各種合併症が併発しやすいからである.しかし,なぜ肥満すると合併症が併発しやすいのか? それは,脂肪細胞は,従来考えられていたように単なるエネルギーの貯蔵庫ではないことが明らかになってきたからだ.
脂肪細胞は,肥満すればするほど,インスリン抵抗性の糖尿病の元凶になりうる腫瘍壊死因子(TNF-a),高血圧症の元凶になりうるレプチンやアンジオテンシノーゲン,狭心症の元凶となる血栓形成に関与するプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)など,多くのホルモンを同時に大量分泌する内分泌器官だったのである(図1)1).
さらに,痩せれば,それも今ある肥満体重から5~10%減量できただけで,これら過剰なホルモン分泌は正常化され,たとえ肥満でも合併症が改善に向かうのである2,3).
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