MEDICAL SCOPE
微小循環とNO(一酸化窒素)と妊娠中毒症の関係
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.83
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903405
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先月は妊娠中毒症とNO(一酸化窒素)のお話をしました。そのことを思い出して下さい。NOは血管の内皮細胞で生産されるガスで,血管を拡張する作用があり,この不足が妊娠性高血圧につながるとのことでした。
このようなNOの血管を拡張させる作用を利用して,治療にこのNOガスを使おうという試みがなされてくるようになり,実際にNICUでは治療が行なわれています。たとえば,新生児の肺動脈狭窄などのように細い血管や収縮している血管を拡張させるために,このガスを利用してみようというものなどがあります。理論的に考えると,とてもうまく効いて有効だろうと想像されます。その通り,とても有効であった症例も報告されていますが,全例に効くとは限らないようで,治療成績は約50%ぐらい,半分ぐらい有効というところでしょうか。しかし,この治療法はいま始まったばかりなので,ここ数年に安定した手段が開発されれば,もっと治療成績も向上することと思います。
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