MEDICAL SCOPE
微小循環とNO(一酸化窒素)と妊娠中毒症の関係
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.172
発行日 1996年2月25日
Published Date 1996/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901425
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微小循環ということばが最近になって医学雑誌をにぎわせています。微小循環というのは,細動脈から毛細血管をへて細静脈に至る間のごく細い血管内での血液の流れのことをいいます。各臓器にはこのような微小循環があり,血流の状態が正常に保たれていれば,その臓器の機能も正常に保たれていれば,その臓器の機能も正常に営まれているといえます。
しかし,なんらかの障害でこの微小循環の血液の流れが正常からはずれてくると,その臓器は正しい機能を発揮することができなくなります。そんな微小循環の血流は血管の内皮細胞でつくられる多くの物質の作用でコントロールされ,正常の血流を維持しているのです。エピネフリン,ノルエピネフリン,アンギオテンシン,エンドセリンのような物質は血管を収縮させる因子です。また,プロスタサイクリン(PGI2),NO(一酸化窒素),Na利尿ホルモンは内皮由来の血管弛緩因子です。これら2つの血管を収縮させたり,弛緩させたりする因子はお互いの作用を調節しあって,ときには血管は収縮したり,ときには拡張したりして微小循環を正常に保っているのです。つまり,2種の反対に作用する血管因子はお互いに相手の様子をみて活動していることになります。
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