特集 出生前診断の倫理的問題を問う
出生前診断を受けた両親への看護
斎藤 京子
1
1聖路加国際病院産科病棟
pp.365-372
発行日 1995年5月25日
Published Date 1995/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903370
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はじめに
近年,出生前診断の方法も多様化し,その結果,それまでは出産後に初めてわかったような児の異常も,妊娠中にかなり詳細に把握できるようになっている。医学の進歩としては評価されるべきことであり,以前には救い得なかった命を救うこともできるようになった。一方,出生前診断によって大多数の妊婦は胎児が正常であるという保証を得ながら妊娠期間を過ごすことができるという利点も確かにあるだろう。
しかし同時に,胎児の異常を指摘された妊婦とその家族にとっては,異常の程度にかかわらず,苛酷な状況に追い込まれるということもまた事実である。看護者としては,このような対象との関わりに少なからず戸惑いが出てきている。これらのことを踏まえて,出生前診断を受けた両親に対して,どのような看護があり得るかについて,私見を述べてみたいと思う。
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