連載 フランス出産事情—変わりゆく出産・助産婦・病院・8
フランスの助産婦②—1982年改革の意義
舩橋 惠子
1
1桜美林大学国際学部
pp.1048-1054
発行日 1990年12月25日
Published Date 1990/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903265
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1982年5月19日法の登場
戦後の社会変動とともに,保健法が拡大され,周産期医学も発達し,出産の施設化・多様化が進んでいく中で,当然のことながらフランスでも,助産婦の規定と助産婦の直面する現実との間にズレが生じ,助産婦職の見直しと再評価が課題となっていった。助産婦の権限を規定した1949年9月24日政令が時代遅れになってきたため,1971年11月8日政令,1976年8月10日政令と,続けて助産婦の権限を修正する行政立法処置がとられてきたが,それだけでは不十分であった。そこで,1981年春ミッテラン政権成立という政治的背景のもとに,1982年,助産婦職を根本的に考え直し,助産婦の地位を引き上げるための法律改革案が出された。
この法律は,「1982年5月19日法」と呼ばれ,その骨子は,助産婦職能の拡大と男性への助産婦職の門戸開放である。以前の法との対応関係から言えば,1944年4月24日法・1967年12月28日法および1945年の公衆衛生法典を修正する法律で,助産婦倫理規定(Code de deontologie)24-25条を修正する1980年7月8日政令を受けている(注1)。
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